CEマーキングに不可欠な「整合規格(Harmonised Standards)」とは?

機械安全

はじめに

EU市場で製品を販売するためには、多くの製品でCEマーキングへの対応が必要です。CEマーキングは、製品が適用されるEU法令(RegulationまたはDirective)の要求事項を満たしていることを製造者が宣言する制度です。

適合性を評価する際に重要な役割を果たすのが**整合規格(Harmonised Standards)**です。

整合規格を適用すると、対応するEU法令の要求事項について**適合推定(Presumption of Conformity)**を受けることができます。この制度は、EUの製品安全制度の中核を担っています。

本記事では、整合規格の概要、確認方法、CEマーキングとの関係について、2026年時点の制度に基づいて解説します。


整合規格(Harmonised Standards)とは

整合規格とは、欧州標準化機関である

  • CEN
  • CENELEC
  • ETSI

が策定した欧州規格(EN規格)のうち、欧州委員会の要請に基づいて作成され、その規格番号が**EU官報(Official Journal of the European Union:OJEU)**に掲載された規格を指します。

整合規格を適用すると、その規格が対象とするEU法令の要求事項について適合しているものと推定されます(適合推定)。

ただし、適合推定は整合規格が対象としている要求事項の範囲に限られます。


整合規格はどこで確認できるのか

整合規格の掲載状況は、欧州委員会およびEU官報で公開されています。

主な確認先は次のとおりです。

  • 欧州委員会「Harmonised Standards」
  • EUR-Lex(EU法令データベース)
  • EU官報(Official Journal of the European Union)

製品法令ごとに、

  • 整合規格一覧
  • 新たに追加された規格
  • 廃止された規格
  • 旧版の適合推定終了日(Date of Withdrawal)

などが公表されています。

整合規格を適用する場合は、EU官報に掲載されている最新版の情報を確認することが重要です。


整合規格がCEマーキングで重要な理由

整合規格を適用することで、製品がEU法令の要求事項を満たしていることを示しやすくなります。

また、技術文書(Technical Documentation)やEU適合宣言(EU Declaration of Conformity)では、適用した整合規格を記載することが一般的です。

代表的な整合規格の例として、次のようなものがあります。

EN ISO 12100

機械類の安全性に関する基本概念およびリスクアセスメントの規格です。

EN IEC 60204-1

機械の電気装置に関する安全要求事項を規定しています。

EN IEC 61000シリーズ

電磁両立性(EMC)に関する試験方法や要求事項を規定しています。

なお、整合規格を適用しない場合でも、製造者が別の技術的手段によってEU法令の要求事項を満たしていることを立証できれば、CEマーキングを行うことは可能です。


実務で確認すべきポイント

CEマーキングでは、まず製品に適用されるEU法令を特定します。

産業機械では、2026年時点では次の法令が関係します。

  • Machinery Directive 2006/42/EC
  • Machinery Regulation (EU) 2023/1230

また、製品によっては次の法令が併せて適用されます。

  • EMC Directive 2014/30/EU
  • Low Voltage Directive 2014/35/EU
  • RoHS Directive 2011/65/EU
  • Radio Equipment Directive(RED)
  • ATEX Directive

その後、適用される法令に対応した整合規格を確認し、技術文書およびEU適合宣言へ反映します。

旧版の整合規格については、EU官報で適合推定の終了日(Date of Withdrawal)が定められることがあります。終了日以降は、旧版による適合推定を受けられなくなる場合があります。


2026年時点の制度変更

機械分野では、**Regulation (EU) 2023/1230(機械規則)**が制定されています。

この規則は2027年1月20日から適用され、同日からMachinery Directive 2006/42/EC(機械指令)は廃止されます。

規則(Regulation)は、加盟国で国内法化することなくEU全域で直接適用されます。

機械規則では、

  • デジタル形式による取扱説明書およびEU適合宣言に関する規定
  • AIなど新しい技術を考慮した安全要求事項
  • 安全関連制御システムに関する要求事項
  • 「実質的改造(Substantial Modification)」に関する規定

などが盛り込まれています。


まとめ

整合規格は、CEマーキングにおける適合性評価の重要な仕組みです。

整合規格を適用することで、EU法令の要求事項について適合推定を受けることができます。

一方で、整合規格は改訂や更新が行われるため、適用にあたってはEU官報に掲載されている最新の情報を確認することが重要です。

また、2027年1月20日からは機械規則(Regulation (EU) 2023/1230)が適用されるため、機械メーカーや制御盤メーカーは、新制度に対応した設計・適合性評価・技術文書の整備を進めることが求められます。

    コメント