A規格、B規格、C規格 (タイプA規格、タイプB規格、タイプC規格)とは
A規格、B規格、C規格 (タイプA規格、タイプB規格、タイプC規格)とは、機械安全の国際規格(ISO/IEC)を体系化した、3段階の階層構造の各階層の分類です。
この体系は、ISO/IECガイド51(JISZ8051)で規定され、膨大な数の規格に統一的な整合性を持たせると共に、安全技術や機械技術の進歩に対応できるよう、規格は次のA,B,Cの3つに分類されています。
A規格:全ての機械類に適用できる基本概念,設計原則及び一般的側面を規定する基本安全規格
type-A standard: basic safety standard
standard giving basic concepts, principles for design and general aspects that can be applied to machinery.
B規格:広範な機械類に適用できる安全面又は安全防護物を規定する規格
type-B standard: generic safety standard
standard dealing with one safety aspect or one type of safeguard that can be used across a wide range of machinery
タイプB1 規格−特定の安全面(例えば,安全距離,表面温度,騒音)に関する規格
type-B1 standard: type-B standard on particular safety aspects (for example, safety distances, surface temperature, noise)
タイプB2 規格−安全防護物(例えば,両手操作制御装置,インターロック装置,圧力検知装置,ガード)に関するグループ安全規格
type-B2 standard: type-B standard on safeguards (for example, two-hand control devices, interlocking devices, pressure-sensitive devices, guards)
C規格:個々の機械又は機械群の詳細な安全要求事項を規定する個別機械安全規格
type-C standard: machine safety standard
standard dealing with detailed safety requirements for a particular machine or group of machines
安全規格は、タイプA規格に記載されている設計の基本概念および一般原則と矛盾してはなりませんが、特定の要件から逸脱する可能性があります。一般に、標準は他の参照標準のテキストを繰り返したり言い換えたりしてはなりませんが、安全基準をよりよく理解するために、基本的な定義または概念、基準の範囲、および/またはEN ISO12100に記載されている基本要件を繰り返すことは許容されます。
タイプA規格
タイプA規格では、基本的な安全規格で、すべての機械に適用される基本コンセプト、設計原則、一般的な項目を取り扱っています。
タイプA規格の全体的な目的は、製造業者、設計者などに、適切なリスク削減を達成するために必要な戦略またはフレームワークを提供することです。
タイプA規格:ISO 12100「設計のための一般原則」
機械安全を確保の中心となる考え方は「リスクアセスメント」と「3ステップメソッド」です。タイプA規格では機械のリスク低減のプロセスが示されています。機械のライフサイクル全般にわたってリスクアセスメントを実施が要求されます。考えられる危険源を同定し、危険源に対してのリスクの見積りを実施後、リスク低減の必要性を評価します。リスク低減が必要と判断された場合は、3ステップメソッドによりリスク低減方策を実施することが要求されています。低減方策では、「本質的安全設計」による方策を優先することが要求され、安全方策実施後に再度リスクアセスメン卜を行い,リスクが許容されるレベルに達するまでプロセスを繰返すことが要求されています。
タイプB規格
タイプB規格では、一般安全基準で、幅広い機械で使用できる安全または1種類の安全装置を取り扱っています。ただしタイプB規格には、特定の安全に関するタイプB1規格と安全装置に関するタイプB2規格の2種類があります。
タイプB規格は次でなければなりません
- 1つの安全面(タイプB1規格)またはセーフガード(タイプB2規格)のいずれかに対応します。
- タイプB1規格の場合、安全項目の基本原則を定義し、データおよび/または方法論によって、これらをタイプC規格に適用する方法を定義します。
- タイプB2規格の場合、セーフガードの設計と製造の機能要件を検証の手段を示し、
- 必要で実行可能な場合、機能要件(タイプやパフォーマンスレベルなど)を確立します。
タイプB1規格: EN ISO 13849-1/-2 -制御システムの安全関連部、 EN ISO 13855一安全装置の位置決め
タイプB2規格: EN ISO 13851 一両手操作装置、 DIN EN ISO 14120 -固定ガード
タイプB規格は、広範囲な分野に多くのの規格が整備されています。
- 制御装置
- 非常停止装置
- 安全距離
- 感圧保護装置
- 予期しない起動の防止
- 保護具,ガード,恒久的アクセス
- 健康,衛生
- 防火
- 危険物質放出
- 防爆
- 放射線
- レーザ
- 音響
- 振動,衝撃
- 流体動力
- 指示,マーキング
- 電気機器
- プログラマブルコントローラ
- EMC (電磁両立性)
- 人間工学
タイプC規格
タイプC規格では、特定の機械に対する詳細な安全の規定をしています。
製品例:工作機械、産業機械、繊維機械、農業機械、産業用ロボット、食品加工機械、印刷産業機械、木工機械、輸送機械、鍛圧機械 など
できる限り、基本安全規格およびグループ安全規格と関連させることが望ましいと規定されていますが、特定の機械に対して機械の性質上、B規格に準拠した保護方策が困難な部分に対して代替の具体的な保護方策を示す場合もあります。
ちなみに、タイプC規格の規定とタイプBの規格の規定が食い違っている場合は、タイプC規格の特定の機械に対する詳細な安全の規定が優先されることになっています。
MSDコンサルティング
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