EU指令とEU規則の違い|CEマーキング

はじめに

欧州連合(EU)に製品を輸出する際、CEマーキングの取得は必須です。しかし、EUの法律体系は複雑で、「指令(Directive)」と「規則(Regulation)」に違いがあります。この記事では、初心者でも理解しやすいように、EU指令とEU規則の違いを整理し、CEマーキングで考慮すべきポイントを解説します。


EU指令(Directive)とは?

EU指令は、加盟国に対して「達成すべき目標」を示す法律です。しかし、具体的な実施方法は各国に委ねられます

特徴

  • 目標を示すが、実施方法は各国が決定
  • 国内法に翻訳される(Transposition)
  • 施行期限は公式ジャーナル掲載後、通常2年以内
  • 加盟国ごとにルールや罰則が異なる

具体例

  • 機械指令(Machinery Directive):安全機械の設計や製造基準
  • 低電圧指令(Low Voltage Directive):電気製品の安全基準
  • RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances):有害物質使用制限

注意点

指令は国内法に基づくため、同じ指令でも加盟国によって罰則が異なります。


EU規則(Regulation)とは?

EU規則は、加盟国に直接的な法的拘束力を持つ法律です。

特徴

  • 加盟国の国内法に関係なく、すべての国で同じ法律として適用
  • 国内法より優先される
  • 違反した場合の罰則もEU全域で統一

具体例

  • REACH規則(化学物質登録・評価・認可・制限)
  • 医療機器規則(MDR):2017年採択、2021年5月26日より段階的施行

注意点

規則は国内法を必要とせず、EU全域で統一の罰則があります。


指令と規則の違いを比較

特徴EU指令(Directive)EU規則(Regulation)
法的性質達成目標を示す法律直接適用される法律
実施方法加盟国に委ねられる加盟国に関係なく適用
罰則国ごとに異なるEU全域で統一
機械指令、低電圧指令、RoHSREACH、医療機器規則(MDR)

CEマーキングと法令遵守

  • CEマーキングは、製品が指令や規則の安全要件を満たしている証明
  • EU指令対象製品は、関連する国内法と併せて要件確認が必要
  • EU規則対象製品は、直接適用される規則に従うことが必要

まとめ

  • EU指令:目標を示すが、加盟国に裁量があり、罰則も国ごとに異なる
  • EU規則:直接適用され、EU全域で統一の法的拘束力と罰則がある

MSDコンサルティング

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