機械安全|操作者の介在

安全設計

Essential Health and Safety Requirements (EHSRs) の必須要求事項のうち、1.6.4「操作者の介在(Operator intervention)」 は以下を要求しています。

原文 1.6.4 操作者の介在(Operator intervention)
機械類は、操作者の介在の必要性を制限するように設計・製造し装備されなければならない。操作者の介在の回避が不可能な場合には、操作者の介在が容易に・安全に実行できるようにしなければならない。

和訳引用:資料作成国際安全衛生センター


操作者介在の原則

EHSR 1.6.4のポイントは以下です。

  1. 自動化で介在を減らす
    • 危険区域への人の立ち入りや手作業は可能な限り排除
    • 自動搬送装置や自動締め付け装置などを活用
  2. 不可避な介在の場合は安全確保
    • 安全柵、セーフティスイッチ、非常停止装置の設置
    • 作業手順の明確化・作業指示の提示
    • 人体干渉を防ぐ間隔・距離を確保(EN ISO 13857等準拠)

具体例と注意点

例1:機械内部の材料交換

  • 材料補充が不可避な場合、安全柵を開ける前に機械が停止する設計
  • 停止後に手が届く範囲と作業姿勢を考慮

例2:メンテナンス作業

  • 点検用カバーを外す際は、危険源の遮断+ロックアウト
  • 操作者が誤操作しないよう、色・表示・手順書で指示

注意点

  • 「安全だろう」という感覚だけでは不十分
  • 欧州では規格(EN ISO 13857、EN ISO 12100など)に準拠しているかが審査対象
  • 操作者介在を減らすだけでなく、不可避な場合の安全確保策も文書化する

設計者・管理者が取るべき対策

キーワード:リスクアセスメント、作業手順、安全教育

  1. リスクアセスメントの実施
    • 介在の必要性の有無を評価
    • 危険度に応じた安全対策を計画
  2. 作業手順・マニュアル整備
    • 介在時の手順、保護具の使用、停止方法を明記
  3. 安全機器・ガードの導入
    • 安全柵、ライトカーテン、非常停止ボタン
    • 操作者が操作しやすい高さ・位置に配置
  4. 教育・訓練
    • 操作者に安全対策の意義を理解させる
    • 定期的に安全教育・点検手順を更新

まとめ

  • EHSR 1.6.4は、操作者の介在を最小限にし、安全確保を義務付け
  • 介在が避けられない場合は、安全かつ容易に作業できる設計が必須
  • 設計・製造・手順書・教育・安全機器の整備がセットで必要
  • 欧州機械指令に準拠した設計・運用が、CEマーキングやPL指令対応にもつながる

MSDコンサルティング 

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