NR12|ブラジル|機械および装置の作業安全性

安全設計

 

NR12|ブラジル|機械および装置の作業安全性

成立の背景(1978年〜1990年代)

  • 法的基盤:1977年12月22日法律第6.514号 → CLT(労働法典)第184〜186条を規制するために1978年MTb第3.214号でNR-12初版を制定。
  • 社会的背景:1989年の調査で、機械プレスの安全性不足(91%が危険なキー結合型、38%が手を危険部に入れる必要あり)が明らかになり、多数の重大事故が社会問題化。
  • 対応策:労働組合、監督機関、業界団体による三者協議と団体交渉により、特定機械(射出成形機、マスシリンダー等)の安全協定を締結。

技術的改善と三者協議の拡大(1990年代後半〜2000年代前半)

  • 特定業種・機械ごとの保護基準をNR-12附属書として追加(例:チェーンソー、プレス機など)。
  • 各州(サンパウロ、リオグランデドスルなど)で三者委員会を設立し、安全条件改善のための労使協定(PPRPSなど)を推進。
  • FUNDACENTROやILOの支援を受け、事故防止マニュアルや安全ガイドラインを作成・普及。

2010年の大改訂(安全設計の体系化)

  • SIT Ordinance No.197/2010で全面改訂。
  • 国内外規格(ABNT, ISO, IEC)を参照し、新品・中古機械を含む全ライフサイクルでの安全要件を明確化。
  • 19章・11付録の構成に整理し、特定機械(履物製造機、プレス、射出成形機など)の個別要件を追加。
  • CNTT/NR-12(ナショナル三者テーマ別委員会)を設置し、実施監視・改善を継続。

国際協調と技術調和(2011〜2018年)

  • ILOの国際会議でブラジルが安全設計ガイド作成に参画。
  • EUとのセクター対話でリスクアセスメント手法の共通化、技術障壁の低減を推進。
  • 産業別の新附属書追加(例:履物・皮革業界向け機械の安全要件)。

2019年改訂(柔軟化・簡素化)

  • SEPRT Ordinance No.916/2019により構造を再編。
  • 中小企業向けに要件簡素化。
  • 国際規格(タイプC規格)を参照できる条項を追加。

2024年の改正ポイント

1. 履物製造機械(附属書X)の適用延期

  • 本来2024年に義務化予定だった中古機械への適用が2025年1月2日へ延期されました(Portaria MTE nº 224/2024)。
  • 対象業界は期限内に安全装置やガードを設置する必要があります。

2. Glossário(用語集)の再編

  • Portaria MTE nº 344/2024により、国際規格の定義などがNR-12のGlossárioから削除され、NR-01との整合性が取られました。

安全設計の核心(NR-12の思想)

NR-12は、単なる機械防護義務ではなく、設計段階からの危険排除(Inherently Safe Design)を重視しています。

主な特徴は以下の通りです。

  1. ライフサイクルアプローチ
    • 設計 → 製造 → 輸入 → 設置 → 使用 → 保守 → 廃棄まで、すべての段階で安全確保。
  2. 国際規格との整合
    • ISO 12100(機械安全の基本概念)、IEC規格を参照。
    • タイプC規格での代替適用を認める。
  3. 三者協議と社会的合意
    • 政府・労働者・事業者が共同で基準を作成・改訂。
    • 実態に即した現場主導の改善。
  4. 特定機械ごとの個別要件
    • 高リスク機械には専用附属書で安全装置・防護措置を規定。
  5. 教育と周知
    • マニュアル配布、訓練義務、リスク情報の可視化。

まとめ

NR-12は、単なる法令改正の履歴ではなく、労働災害防止の歴史そのものです。
2024年改正では期限管理と用語整合が主なテーマでしたが、産業ごとの特性を踏まえた対応が求められます。
最新の官報や労働省サイトを定期的に確認し、改正に遅れない体制を整えましょう。

NR-12 – SEGURANÇA NO TRABALHO EM MÁQUINAS E EQUIPAMENTOS

NR-12(Norma Regulamentadora nº 12)は、ブラジルの労働省が定めた「機械および設備における労働安全規則」であり、労働者の健康と身体的安全を確保するための技術的な基準、基本的な原則、保護措置を定めています。

この規則は、機械および設備の設計、製造、輸入、販売、展示、譲渡、使用に関わるすべての経済活動に適用されます。また、他の規則(NR)や公式技術基準、適用可能な国際基準、またはこれらが存在しない場合は欧州規格(タイプC)に準拠することが求められます。

NR-12は、以下の優先順位で保護措置を講じることを求めています:

  1. 集団的保護措置(例:機械の安全ガード)
  2. 管理的または作業組織上の措置(例:作業手順の見直し)
  3. 個人保護具(PPE)の使用

この規則は、機械および設備の新旧を問わず適用されますが、特定の適用除外がある場合もあります。たとえば、輸出専用と証明された機械や設備は、NR-12の技術的安全要件の適用が免除されます。

NR-12の遵守は、労働者の安全を確保するだけでなく、企業が法的な義務を果たし、潜在的な罰則を回避するためにも重要です。

詳細な情報や具体的なガイドラインについては、NR-12の公式文書をご参照ください。Serviços e Informações do Brasil

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