固定ガードとは?
一度設置したら、通常の使用中は常に閉じられており、容易に開けられないよう設計される。機械指令の基本的な健康と安全の要件 Essential Health and Safety Requirements (EHSRs) の必須要求事項の中から1.4.2.1 の「固定ガードへの要求事項」について解説します。
固定ガードとは、危険源(回転部品・切断部・高温部など)から作業者を恒常的に隔離するための、安全装置の一種。
原文
1.7.4.2 Contents of the instructions
Each instruction manual must contain, where applicable, at least the following information:
a) the business name and full address of the manufacturer and of his authorised representative;
b) the designation of the machinery as marked on the machinery itself, except for the serial number (see section 1.7.3);和訳
1.7.4.2 取扱説明書の内容(続き)各取扱説明書は、該当する場合は、少なくとも次の情報を含まなければならない:
(a)製造者、またはその委任代理人の氏名及び完全な住所;
(b)製品番号(シリアル番号)を除いて、機械類自体に表示された機械類の名称(項目1.7.3 参照);
1.4.2.1 固定ガードの必須要件(EHSRs 原文の要点)
- 工具を使わないと外せないこと
- 作業者が素手や簡単な操作で外せてしまうと、安全が確保されない。
- 専用工具(スパナ、ドライバー、トルクレンチなど)を必要とする設計が必須。
- 固定具がガードまたは機械に残ること
- 取り外したとき、ボルトやネジが完全に分離してしまうと「置き忘れ・紛失」につながる。
- そのため、固定具は必ずガードか機械のどちらかに「残る構造」でなければならない(キャプティブスクリュー方式など)。
- 固定具なしではガードが保持できないこと
- ネジを締めていなくてもパチッとハマって固定されてしまうような構造はNG。
- 必ず固定具の存在によって保持されるように設計することで、作業者が「意図せずガードを外した状態で使う」リスクを防ぐ。
なぜこの要求があるのか?
- ヒューマンエラー対策
作業者がうっかり外したまま運転してしまうことを防止する。 - メンテナンス性と安全性の両立
必要なときにだけ工具を用いて外せる → 安全管理が徹底できる。 - 欧州の安全文化
「使用者が間違える可能性をゼロにする」設計思想が背景。
実際の設計例
- キャプティブスクリュー付きカバー(ネジが抜け落ちない)
- ボルト固定式の防護板(六角レンチなどでのみ脱着可能)
- 機械フレームにねじ込み、完全に外れない蝶ネジ
関連する条文:1.7.4.2 取扱説明書の内容
- 取扱説明書には、少なくとも次の事項を明記する必要がある:
- 製造者または代理人の氏名と完全な住所
- 欧州内から郵便が届くような正確な表記が必須。
- 製造銘板や適合宣言書とも一致していなければならない。
- 機械の名称(モデル・タイプ)
- シリアル番号は不要だが、製品識別ができる程度の情報は必須。
- 複数のバリエーションがある場合は、それぞれに適用される情報を明示。
- 製造者または代理人の氏名と完全な住所
MSDコンサルティング
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