機械の安全化を進める上で技術者が知っておかなければならない原則が3つあります
- 人はミスをする
- 機械は故障する
- 絶対安全は存在しない
今回は3つの原則の中で、今回は、「絶対安全は存在しない」を考えてみましょう。
「絶対安全は存在しない」
機械は、いつかは壊れる。これは、誰しもが納得することとだと思います。機械を設計・製造するとき、顧客が求める生産性を達成するために、故障しにくく壊れにくい機械を作ることは重要なことです。
しかし、機械は、時間が経てば母材が劣化したり、可動部が摩耗したり、配線が断線したりして、放っておくと、いつかは壊れて使えなくなります。例えば、故障した装置がブレーキだとしたら、作業者が大怪我をしたり、壊れた装置がプラント設備の一部であれば、大事故に発展する可能性もあります。だから、機械が故障しないように部品の製造で品質管理を徹底したり、故障する前に部品を交換するなどの保守点検を行って故障の発生確率をさげる努力が払われます。
しかしながら、壊れない機械を設計・製造することは不可能です。だから技術者は、安全関連の装置については、“機械は壊れるものである”との認識のもと設計・製造を行わなければなりません。
“機械は壊れるものである”との前提のもと、安全関連の装置の故障により事故が発生することを防ぐための方法として、二つの設計手法を紹介します。ひとつが「冗長化(二重化)設計」で、もうひとつが「フェールセーフ設計」です。
「冗長化(二重化)設計」
冗長化設計とは、仮に故障が発生したとしても安全を確保するためにシステム構成を例えば、冗長化(同じ装置を複数個並列に配置しこれかの装置か故障してもその他の装置が正常に作動することで機械が正常に作動する)や二重化(2系列の異なる装置を並列に並べて一方が故障してももう一方が正常なら正常に機械が作動する)により装置の信頼性を高める設計方法です。例えば、次のようなものがあります。
- 無停電電源装置による電源の二重化
- インターロックガードに2種類の検知センサーを設置する
- 飛行機のエンジンは1基が故障しての残った1基で飛行可能
- 前後のケーブルが別である自転車のブレーキ
「フェールセーフ設計」
フェールセーフ設計とは、たとえ故障が発生したとしても危険な状態にならない、または危険側に故障する確立よりの安全側に故障する確立が著しく高くなるように機械を設計する手法です。産業機械の場合は、故障したらまず停止することが基本になります。フェールセーフには例えば、次のようなものがあります。
- 停電の時は降りたままになる踏み切りの遮断機
- 倒れると自動的に電源が切れる電気ストーブ
- 信号機は制御部が故障した時に赤点滅する
MSDコンサルティング
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