OT資産のリスク値の算出(ステップ5)


1. リスク値の定義

  • リスク値 = 「資産の重要度」 × 「脅威レベル」 × 「脆弱性レベル」
  • 各評価が 1〜3 の整数値であるため、リスク値は 最小 1、最大 27 になります。
  • 値が大きいほど、その資産は「リスクが高い」と判断されます。

2. 算出の流れ

  1. 資産の重要度を評価(ステップ2)
    • 被害の大きさを 1~3 で評価。
  2. 脅威レベルを評価(ステップ3)
    • 攻撃が成立する可能性を 1~3 で評価。
  3. 脆弱性レベルを評価(ステップ4)
    • 防御の強さ(対策レベル)に応じて 1~3 を割り当て。
  4. 掛け合わせてリスク値を算出
    • 例:重要度3 × 脅威2 × 脆弱性3 = 18 → 高リスク。

3. リスク値の評価基準(例)

リスク値を「高・中・低」で分類して、優先度をつけます。

リスク値リスク判定対応方針の例
20~27高リスク直ちに対策を検討・導入する必要あり
10~19中リスク優先順位を考慮し、計画的に対策を実施
1~9低リスク現状維持またはモニタリングで対応可

※ この閾値は業界・組織のリスク許容度に応じて調整可能です。


4. 出力(成果物)

  • リスク一覧表
    資産ごとに重要度、脅威レベル、脆弱性レベル、リスク値をまとめた表を作成します。

例:

資産名重要度脅威レベル脆弱性レベルリスク値判定
中央監視サーバ33218
PLC(制御装置)32318
HMI端末2228
ネットワークSW23318

5. 活用方法

  • リスク値が高い資産 → 優先的に追加対策を導入(多層防御、監視強化、バックアップ強化など)。
  • 中リスク資産 → 計画的に改善し、状況に応じて監視や補強。
  • 低リスク資産 → 現状維持を基本とし、定期的に再評価。

✅ まとめると:
リスク値は、重要度・脅威・脆弱性を掛け合わせて定量化し、資産ごとのリスクを比較・優先度付けするための指標です。これにより「どの資産にどの順番でセキュリティ対策を行うべきか」が明確になります。

 https://www.ipa.go.jp/security/controlsystem/riskanalysis.html

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