機械指令|技術文書の保管期間|10年

CEマーキング

機械指令(2006/42/EC)における技術文書(テクニカルファイル)の保管期間は、製造者またはその欧州代理人が最終製造日から少なくとも10年間、所管官庁の要求に応じて提示できる状態で保持することが義務付けられています。


📘 技術文書の保管義務の法的根拠

この義務は、機械指令の附属書VII(Annex VII)A項に明記されています。具体的には、「製造者は、製造した機械が本指令の要求事項を満たすことを示すために必要な技術文書を作成し、最終製造日から少なくとも10年間、所管官庁の要求に応じて提示できる状態で保持しなければならない」と記されています。

また、EUの公式ガイドライン「ブルーガイド」でも、技術文書とEU適合宣言書は製品が市場に出された日から10年間保持することが推奨されています。この期間は、製品の適合性を証明するために必要な期間とされています。


🗂 技術文書の内容と保管方法

技術文書には、機械の設計、製造、運用に関する情報が含まれ、以下のような内容が求められます:

  • 設計図面、回路図、部品表などの設計関連資料
  • 製造プロセスに関する記録
  • 適用したEU規格や試験結果の詳細
  • リスク評価や安全性に関する分析結果
  • ユーザーマニュアルやメンテナンスガイド

これらの文書は、電子データとして保存することも可能ですが、所管官庁の要求があった場合に迅速に提示できるよう、適切な管理体制を整備することが重要です。


🌍 保管場所とアクセス

技術文書の保管場所は、EU域内である必要はなく、製造者またはその欧州代理人がアクセス可能な場所であれば問題ありません。ただし、所管官庁からの要求に応じて、迅速に提示できる体制を整えておく必要があります。

また、技術文書の提示を拒否した場合、その製品はCEマーキングに適合していないと見なされ、市場からの撤去や販売停止などの措置が取られる可能性があります。


🛠 実務上の対応ポイント

  • 技術文書の整備:製品開発段階から、必要な技術文書を整備し、更新履歴を管理する。
  • 電子化の活用:技術文書を電子データとして保存し、アクセス権限を設定して管理する。
  • 社内教育の実施:技術文書の重要性と保管方法について、関係者への教育を実施する。
  • 監査体制の構築:定期的な内部監査を実施し、技術文書の適切な保管と管理が行われているか確認する。

これらの対応を通じて、法令遵守を確保し、製品の市場適合性を維持することが可能となります。


📝 まとめ

機械指令における技術文書の保管義務は、製造者の法的責任として明確に定められています。適切な文書管理と迅速な対応体制を構築することで、法令遵守を確保し、製品の市場適合性を維持することが可能となります。

詳細については、EUR-Lexの公式文書や欧州委員会のガイドラインを参照してください。


EUR-Lex – 32006L0042 – EN – EUR-Lex(外部リンク)

MSDコンサルタント

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