はじめに(要点)
機械安全における「外部放射(External Radiation)」は、機械や関連製品が外部からの放射(電離放射線・非電離放射線を含む)によってその動作を妨げられないよう設計・製造されるべき、という要件です。欧州の機械規制(2023年改訂のRegulation (EU) 2023/1230)では、EHSR の 1.5.11 にこの要件が明記されています。
EHSR 1.5.11 の要旨(原文に基づく)
1.5.11 External radiation — Machinery or related products shall be designed and constructed in such a way that external radiation does not interfere with its operation.
(「外部放射が機械の運転を妨げないように設計・製造されなければならない」)
同規則の該当PDF内には、「作業中の非電離放射線の機能的排出は、人に悪影響を与えないレベルに制限されるべきである」等の文言も含まれています。
なぜ問題か?
- 電子制御やセンサー類は放射線や電磁妨害(EMI)により誤動作やノイズ、機能低下を起こす可能性がある(EMC/EMIの問題は国際規格で扱われている)。
- 医療・原子力・工場等の特定環境では、放射線源や高レベルの電磁場が存在することがあり、機械・機器の耐性を考慮する必要がある(事例・研究は多数)。(以下に事例を示す)
規格・ガイドライン
- EU Regulation (Machinery) 2023:EHSR 1.5.11 を含む。製造者は外部放射を考慮した設計を行う必要がある。
- IEC(EMC)規格群(例:IEC 61000):電磁環境・耐性に関する国際的な規格で、設計段階での参照が一般的。
設計上のポイント
(以下は公的規格や業界慣行に基づく一般的指針として整理)
- リスクアセスメントで「想定される外部放射の種類・レベル」を明確にする。
- 遮蔽・シールド、耐放射線材料の選定、電子部品の耐量評価(TID、SEU 等)の検討。
- 放射線・EMI下での動作試験・加速劣化試験、国際規格に基づく試験実施。
- 運用中のモニタリング、定期点検、保守記録の保持。(一般的な安全管理の実務)
まとめ
- 「外部放射(External Radiation)」に関する EHSR 1.5.11 は EU の公式文書に明記されています。製造者は設計・試験・運用の段階で外部放射を考慮する必要があります。
- 本記事で最初に含めていた統計的増減の断定的表現や出典なしの具体的数値は削除あるいは中立的表現に修正しました(該当は上掲「削除・修正した主な箇所」を参照)。
コメント