ライン型 / スタッフ型 / ライン・スタッフ型とは、この安全活動を行うための職場の安全衛生管理体制の形態を示すものです。
今日は、労働安全コンサルタント試験問題にも良く出てくる、安全管理体制のライン型 / スタッフ型 / ライン・スタッフ型の違いについて紹介します。
事業者は、安全方針を策定し、安全に関する安全目標を設定し管理計画書を作成します。これらの方針、目標、計画は、すべての労働者に周知されなければなりません。
ライン型 / スタッフ型 / ライン・スタッフ型とは、この安全活動を行うための職場の安全衛生管理体制の形態を示すものです。
ライン型(ライン型安全管理者)
安全衛生を行うにあたって、計画から実施のPDCA活動を生産活動のラインで遂行する方式です。生産のライン管理・監督者が安全管理者を兼務する(例えば、安全課や安全係といった組織を持たない)安全管理組織で、小規模の事業場に向いている管理方法です。生産組織に安全管理を付加した体制を「ライン型」と呼びます。
長所
- 安全管理の専門組織を持ちにくい小規模の事業場でも可能
- 生産の管理者が安全の管理者なので指示や措置を迅速に徹底しやすい
短所
- 管理・監督者 が日常の業務に追われ安全の知識や最新情報を身に着けにくい
- 安全に関する指導能力に個人差が表れやすい
- 生産活動を優先してしまい現状の危険性を容認することがある。
図:安全管理者 選任時研修 平成31年3月5日 神奈川労務安全衛生協会 厚木支部.pdf
スタッフ型(スタッフ型安全管理者)
安全衛生業務を行うにあたって専門の担当を置き(例えば、安全課といった組織)、スタッフ部門(安全専門部門)で安全に関する計画、調査、検討、勧告し、生産ライン部門でそれを実施する方法です。安全の専門スタッフが安全の管理を行うことで、最新の安全情報の収集や事業場の安全管理の計画・点検・評価を統括して行うことが可能になります。
長所
- 最新の安全情報に対応した取り組みが可能
- 経営トップの考えが現場に徹底しやすい
短所
- 立場上、生産ラインの安全活動の指導が難しい、また、生産ライン管理者から反発等もあり得る。
- 現場の安全・品質・生産の詳細や現場の不安全状態を把握しにくい場合があり、安全活動が生産と遊離することがある。
- 経営トップや各級の管理者の理解が無いと現場に安全対策が浸透しない。
図:安全管理者 選任時研修 平成31年3月5日 神奈川労務安全衛生協会 厚木支部.pdf
ライン・スタッフ型(ライン・スタッフ型安全管理者)
管理部門であるスタッフ部門(例えば、安全課)と現場である生産ライン部門にも安全衛生担当者を置くという体制。スタッフ部門で安全衛生業務について目標をたて、企画・立案し、ライン部門でそれを実施し、ライン部門の安全担当者を通じて、現場の業務に即した安全衛生対策を実施する方法。
長所
- ライン型とスタッフ型の短所を補うことが可能になる
短所
- ライン型とスタッフ型の両方の要件を備えたもので理想的な組織であるが、大規模の事業者しか実施が難しい
図:安全管理者 選任時研修 平成31年3月5日 神奈川労務安全衛生協会 厚木支部.pdf
参考:労働安全コンサルタント試験問題例
正誤問題
問1:最も効果的な安全管理を推進するためには、ラインとスタッフがそれぞれ職務分担を明確にし、それぞれが独立して責任を持ってPDCAサイクルを回すための職務を遂行することが必要である。
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間違い:ラインとスタッフはそれぞれ協力して安全管理を行わなければならない。
問2:ライン型安全管理は、安全の計画から実施に至るまでの管理を生産等のラインで行う管理方式であるが、スタッフ型に比べて、指示、改善策等が速やかに徹底されにくい傾向がある。
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間違い:ライン型安全管理は、生産管理者が安全の管理者であるため指示や措置を徹底して実施しやすい。
問3:スタッフ型は、安全に関する新しい知識や情報を収集しやすく、それを容易に指示や措置を徹底して実施しやすい。
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間違い:スタッフ型は、立場上、生産ラインの安全活動の指導が難しい、例えば、生産ライン管理者から反発等もあり得る。スタッフ型が安全に関する新しい知識や情報を収集しやすいことは正しい。
問4:スタッフ型は、安全活動が生産と遊離することが少なく、生産の技術進歩に即応した安全対策を取りやすい。
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間違い:スタッフ型は、現場の不安全状態を把握しにくい場合があり、安全活動が生産と遊離することがある。
MSDコンサルティング
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