2020年9月1日に英国政府から発表されたUKCAの最新情報は下のリンクから
新着情報|UKCA(英国適合性評価)マーキングについて (リンク)
英国がEUを離脱したことによる、製品の安全性と法令遵守の変更は、現在の移行期間が終了した後、さらに移行期間があり、新しい要件が2021年1月1日から2022年12月31日までの間有効になることが発表されました。
2021年1月1日から、UKCAマークは、これまで英国で市場に出される製品のCEマークから代わります。ただし、現在の英国政府のガイダンスでは、CEマークは、法令遵守の意図からさらに1年間使用可能であることがが示されています。
一方、2022年1月1日以降、CEマークは、英国とEUの規則が同じままである地域でのみ英国で有効であることが明確にされているため、関連する英国の法律に準拠し無くなった場合には、2022年12月31日以前であっても英国で市場に出された商品に対して有効ではなくなります。例えば、EU加盟国が2021年1月1日以降に法案を可決し、企業CEがそれらの新しい規則に基づいて製品にマークを付ける場合、これらの商品を英国で市場に出すには、UKCA制度に従って適合性を評価しマークを付ける必要があります。
以降の記事は、2020年8月10日時点の記事です。
UKCAマーキングでの変更点
英国(イギリス)の製品の適合性を示すマークがCEからUKCA に変わります。単純に見える変更ですが、非常に複雑です。
2020年1月31日、英国のEU離脱協定が承認され正式に発効しましが、現時点(2020年8月10日)の英国は、CEマーキングの移行期間なので英国にCEマークで輸出は可能です。もし仮に2020年12月31日に終了する移行期間に対して、英国とEUの間で交渉が決裂し継続延長されなかった場合に、2021年1月1日からどうなるのかを考えてみました。ここでは、製品への必須要求事項は変わらないとした場合について考えてみます。
マークや宣言書の記載内容の変更
英国に輸出する場合は、CEマークからUKCAマーク(UKCA marking)への変更が必要になります。製品ラベル、梱包、取扱説明書などにUKCAマークを追加する必要があります。多くの場合はCEマークとUKCAマークを両方表示することになると考えられます。(注意:英国はUKCAマークを実施する法律をまだ公布していないため2021年1月1日より前に製品にUKCAマークを使用することはできません)また、宣言書に記載する各指令の名称は新たに英国政府が発行する法規に変更し、整合規格はEN規格からBS規格に変更になるでしょう。
ただし、これは書類上の記載変更だけの話です。大きな影響を受けるのは、次の適合性評価のために認証機関(ノーティファイドボディ)が関与している場合です。
認証機関(ノーティファイドボディ)の変更
①今まで英国の認証機関(アプルーブドボディ)で適合性評価を受けていた場合
英国に輸出する場合は、改めて英国の認証機関(アプルーブドボディ)にUKCAマークの証明書(CoC)を発行してもらうため必要があります。一方、EU加盟国に輸出する場合は、英国の認証機関(アプルーブドボディ)はEU加盟国の認証機関(ノーティファイドボディ)ではなくなるため、EU加盟国の認証機関(ノーティファイドボディ)で新たに適合性評価を受け証明書(CoC)を発行(移行)してもらう必要があります。
②今まで英国以外の認証機関(ノーティファイドボディ)で適合性評価を受けていた場合
英国に輸出する場合は、英国の認証機関(アプルーブドボディ)の証明書(CoC)が必要なので、英国の認証機関(アプルーブド)にテストてポートを提出し新たに証明書(CoC)を発行(移行)してもらう必要があります。一方、EU加盟国に輸出する場合にはこれまで通りで変更はありません。
テクニカルファイルのコンパイラ(編纂者)の変更
機械指令では、製造国がEU加盟国以外の国である場合、市場監督当局からの要請に応じてテクニカルファイルの関連文書を収集(コンパイル)して利用できるように業務を製造者から委任されたEU加盟国に本拠地を置く編纂者が必要とされています。
①今まで英国の編纂者に委任していた場合
英国に輸出する場合は、変更の必要はありません。一方、EU加盟国に輸出する場合は、英国の編纂者はEU加盟国に本拠地を置いていないので、EU加盟国の者に新たに編纂を委任する必要があります。
②今まで英国以外の編纂者に委任していた場合
英国に輸出する場合は、英国に本拠地を置く者に新たに編纂を委任する必要があります。一方、EU加盟国に輸出する場合は、変更の必要はありません。
編纂(コンパイル)する者について
話は逸れますが、この編纂者はCEマーキングの法的責任を負わないため、欧州に拠点を持たない企業のためにテクニカルファイルを保管するサービスを行っている企業もあります。うわさ話ですが、実際に市場監督当局からの要請に応じてテクニカルファイルを提供する時に多額の手数料を製造者に要求する悪徳企業もあると聞きます。もしテクニカルファイルを編纂(コンパイル)の委任する場合は信頼できる企業であることを確認することをお勧めします。
ここからは、私の私的な見解です。一般産業機械の場合は、テクニカルファイルを編纂する者、つまり、当局がテクニカルファイルを要求する時の欧州の窓口になる者は当然必要ですが、その編纂者(窓口)にテクニカルファイルを預ける必要は全くないと思っています。日本でテクニカルファイルを保管し、当局から要求があればテクニカルファイルの電子データを欧州の窓口経由で当局に提出できれば問題はないと思っています。
その他の対応が必要になる項目があるかもしれませんが、とりあえず思いつく項目を挙げてみました。UKCA(英国適合性評価)マークへの対応の参考にしていただければ幸いです。
イギリスの認証機関(ノーティファイドボディ)一覧
NB 0038 | Lloyd’s Register Verification Limited |
NB 0040 | BRITISH ENGINEERING SERVICES LTD |
NB 0041 | BUREAU VERITAS UK LIMITED |
NB 0168 | TUV SUD BABT |
NB 0353 | SGS UNITED KINGDOM LTD |
NB 0359 | INTERTEK TESTING & CERTIFICATION LTD |
NB 0463 | AMTRI VERITAS LIMITED |
NB 0518 | SIRA CERTIFICATION SERVICE |
NB 0673 | TECHNOLOGY INTERNATIONAL (EUROPE) LTD |
NB 0843 | UL INTERNATIONAL (UK) LTD |
NB 0858 | GCL International Ltd |
NB 0870 | LAIDLER CERTIFICATION |
NB 0890 | SGS UNITED KINGDOM LIMITED |
NB 1105 | CCQS UK LTD |
NB 1291 | LIFT CERT LIMITED |
NB 1521 | HPi-CE Proof Ltd |
NB 1674 | SAFENET LIMITED |
NB 1942 | CEM INTERNATIONAL LTD |
NB 2441 | European Quality Assurance |
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