CEマーキングの自己認証とは
CEマーキングは、EU域内で販売される製品が関連するEU指令・規則に適合していることを示す表示であり、製品安全や環境保護に関する必須要件を満たす必要があります。
UL認証やJISマークのような第三者機関による承認とは異なり、多くの場合、製造者自身が適合性評価を行い、自ら「適合宣言書(DoC)」を作成できます。
最新データと動向
- 欧州委員会の報告によると、CEマーキングが必要な製品カテゴリのうち、80%以上が自己認証(モジュールA:内部生産管理)で対応可能(出典:European Commission, 2024)。
- 自己認証制度の対象外となるのは、医療機器、高リスク機械、爆発物、特定の防護具など。
- 2024年にはEU規制(機械規則・低電圧指令・EMC指令など)においてデジタル取扱説明書やサイバーセキュリティ要件が追加され、自己認証でもこれらの遵守が必要になっている(出典:Official Journal of the European Union, 2023)。
製品カテゴリ別 自己認証の範囲
- 機械:ほとんどの一般機械は自己認証可能。高リスク機械(例:丸鋸、手動プレス)は原則ノーティファイドボディ関与が必要だが、整合規格を完全適用すれば自己認証可能な場合もあり。
- 電気機器(低電圧指令対象):整合規格に従えばほぼ自己認証で対応可能。
- 電子機器(EMC指令対象):整合規格適用により自己認証可能。無線機能を持つ場合はRED指令が適用され、一部で認証機関の関与が必要。
自己認証のメリット
- コスト削減:認証機関への高額な試験・認証手数料を削減。
- 市場投入までの期間短縮:第三者試験待ち時間を省略。
- 知的財産保護:設計情報を外部機関に渡さずに済む。
自己認証のリスクと対策
- 不適合時の責任は全て製造者負担:市場監視当局による抜き打ち検査や苦情対応で不適合が発覚すると、販売停止・リコール・罰金の可能性。
- 技術文書の整備が必須:試験レポート、リスクアセスメント、回路図、取扱説明書(現地言語)を用意。
- 法改正への追随:EU規制は毎年更新があるため、最新整合規格の定期確認が必要。
まとめ
CEマーキングの自己認証は、適切な知識と準備があれば、コストと時間を大幅に削減できる優れた方法です。
しかし「丸投げ」ではなく、製造者自身が法令を正しく理解し、技術文書を整備し続けることが求められます。
欧州市場での競争力を高めるためにも、内部での規制理解と適合性評価スキルの確立が不可欠です。
MSDコンサルティング
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