機械類による労働災害の主な原因は、機械の可動部分と人の接触です。衝突、摩耗やこすれ、切断、せん断、突き刺し、押しつぶし、引き込み、捕捉により傷害が引き起こされる可能性があります。
これに対しては、ガードや保護装置に頼るのみならず、可動部品との接触による危険を排除したり、リスクを軽減するための、いくつかの対策を講じることができます。
今日は、Essential Health and Safety Requirements (EHSRs) の必須要求事項の中から1.3.7 の運動部品に関連するリスクについて解説します。
1.3.7 運動部品に関連するリスク(Risk related moving parts)
機械類の運動部品は、事故を惹き起す恐れのある接触のリスクを防止するように設計・製造するか、またはリスクが依然として残る場合は、ガード又は防護装置を設けなければならない。
作業に関連する運動部品の偶発的な阻害を防止するために、すべての必要な手段が講じられなければならない。その予防策にもかかわらず阻害が起こるような場合に、適切な場合は、必要な特定の防護装置や工具は阻害を安全に除去できる機器を備えなければならない。
当該機械類の取扱い説明書及び可能な場合は機上の標識により、これらの特定の防護装置およびその使用方法を明示すること。
機械の可動部分と人の接触については、可動部品自体の設計によってリスクを回避または軽減できます。例えば、作動部分が機械的危険を発生させないように作動力を小さくすることによって、または可動部分の質量や速度、つまり運動エネルギーを小さくすることによって可能です。
たとえば、可動部品を機械のフレーム内に配置する、保護構造から十分な高さまたは十分な距離にするなど、通常は人がアクセスできない場所に配置して、可動部品に到達できないようにすることもできます。
この安全距離に関しては、EN ISO13857に記載されています。
可動部品と固定部品または他の可動部品との間に十分な空間を設けて、押しつぶされたり、剪断されたり、引き込まれたりするリスクを防ぐこともできます。
押しつぶしのリスクを防ぐために必要な空間の寸法は、EN ISO 13854に記載されています。
部品自体の設計や安全距離や隙間によって可動部品によるリスクを防ぐことができない場合は、ガードや保護装置を使用してそのような部品へのアクセスを防ぐ必要があります。
作業に関係する可動部品の詰まりが発生した場合にもリスク発生の可能性が生じますの、詰まり自体が危険な状況を引き起こさない場合でも、詰まりが発生すると、損傷や生産の損失を回避するために作業者が機械に接近する必要が生じる場合があり、それによってリスクが高まります。
製造者は、可能な限り、この詰まりを防ぐための設計する必要があるのは当然ですが、完全に防ぐことができない場合は、合理的に可能ならば、ガードを取り外すことなく、可動部品のブロックを安全に解除できる手段を提供する必要があります。
ブロックを解除する手段は、機械の関連部分の標識で識別される必要がありますが、そのような場合に従うべき操作方法は、製造者が取扱説明書で指示しなければなりません。
MSDコンサルティング
コメント